プライドは心の腫瘍である
ところで皆さんの周りには、プライドが高い人はいますか?
プライドが高いと一言で言っても、いろいろな考え方があると思います。
・極度の負けず嫌い
・こちらの言い分を必ず否定し、持論を展開してくる
・注意、指摘をするとすぐヘソを曲げる
・話し方がいつも喧嘩腰
・話す内容よりも立場を気にしやすい
・完全に非を認めない限り謝罪をしない
などなど。
本人は自覚しているのか、無自覚なのかはわかりませんが、
他人に無意味に緊張感を与えたり、マウントを取ろうとしてくる人は、僕たちの周りには意外といたりします。
例えばそれが家族や友達の中にいたときは、
(決して悪い人ではないんだけど…、一緒にいるとたまに疲れる)
(普段は面倒見が良くて優しいんだけど、時々ねちねちと説教してくる)
など、身近にいるからこそ良いところを見い出したいのに……、なんて思う方もいるかもしれません。
そんなプライドの高い彼らには、その態度や言動の裏に隠された本音というものが存在します。
今回はそんな彼らの本性を紐解いていこうと思います。
プライドは弱点をカバーするプロテクターである
プライドの高い人の心の内に眠るのは、自分に対する自信のなさです。
彼らが普段、自分の視界に映し出しているのは優秀な他人であり、そんな人達と自分とを比較して、劣等感に駆られている場合がよくあります。
例えば男性の場合だと、
・年収が低い
・仕事におけるスキルが低い(または持ち合わせていない)
・カワイイ(美人な)彼女や奥さんがいない
・体力がない
など。
女性の場合だと、
・自分より美人だったりスタイルの良い子がいる
・イケメンでお金持ちの彼氏や旦那さんがいない
・男性と比較してキャリアを獲得できてない(収入や地位が低い)
など、様々あると思います。
彼らは心の奥底に強いコンプレックスを抱えており、それを他人にさらけ出してしまうと、自信の敗北、立場を奪われる、恥をかかされるなど、自分の存在をまるごと否定されるんじゃないかという不安感に苛まれています。
そんなネガティブな心理状態を守るために、強い態度や言動を取るといった方法で彼らは防御壁を張ろうとするわけですね。
僕は以前、プライドが高かった
私事になります。
僕は他人から自分の欠点を指摘されるのが、すこぶる嫌いでした。
例えばファッションセンスがダサいと言われたり、自分が気にしている容姿をいじられたり※1、対人関係におけるマナーやモラルの悪さを指摘されると、
だいたい上手く切り替えしたり、反論や反省したりすることもできずに、イライラしていました。
内向的な性格だったため喧嘩に発展することこそはありませんが、露骨に態度を悪くしたり、対象の人間から避けたり悪口を吐いたりしていました。
これはいわゆる逆ギレというものですが、逆ギレをしたときの相手の反応は決まって2パターンで、
・面白がって更にからかって笑ってくる
・思いやりを裏切られたと怒るか落ち込む
このどちらかです。
明らかにいえるのは、こうした僕の反応によって、対人関係が良くなった試しが一度もなく、
必ず僕と彼らとの関係には亀裂が入っていくことしかありませんでした。
プライドの高さが露呈することで得られるメリットがあるかでいうと、僕の経験では間違いなく皆無だったのは確かです。
プライドがない(隠せる)人の方が、圧倒的に他人に好かれるという事実
プライドが高さが欠点となっていた僕に、考えを改めさせたのはお笑い芸人の存在です。
芸人が何故面白いのか、何故ユーモアがあって人を惹き付けられるのか、その答えはいじられ上手ということでした。
先程プライドの高い人の特徴として、自信の敗北、立場を奪われる、恥をかかされるといったことに不安感を持つと書きましたが、
あろうことか芸人さんたちは、そういった要素を自ら進んで貰いにいくわけです。
勝負事には負けに行ったり、集団で仲間外れにされたり、辱めを受けたりした後、その後のリアクションや発言で笑いを取るわけです。※1
(もちろんこういったのは見せ物としてであり、おそらく実際の人間関係とは異なります)
弱点を隠すどころかさらけ出すことで、他者に親近感を与えたり、安心感を与えたりすることで好かれるわけですね。
お笑い芸人の中でもトップに躍り出る明石家さんまでさえも、TVの前では後輩芸人にさえもいじられ、それを笑いにして切り替すわけです。
プライドの高い人が好かれないワケ
プライドの高い人の特徴として負けず嫌いを挙げましたが、決して負けず嫌いの人は嫌われる、というわけではありません。
では人に好かれる負けず嫌いな人と、人に嫌われる負けず嫌いな人との違いとは何なのでしょうか?
それは、自分の弱さを知っている(認められている)かどうかです。
自分の弱さを認められている人は、他人の弱さを認めることができます。
そのため、相手の性格や心理を慈しみ、受け入れることができます。それはつまり相手に対する共感を表すわけですから、他人から敵視されることも少なくなるわけです。
自分の弱さを認められていない人は、他人の弱さを認めることができません。
そのため他人の弱点を平気で指摘し、蔑むことができます。また、自分の弱さを認められていないがために、それを指摘されると激昂するわけです。
「お前は人を散々悪く言うくせに、逆に言われたらすぐ怒るよな」なんて思うかもしれませんが、
メカニズムとしては一応理に適ってるわけですね。
弱点を知る負けず嫌いはそんな自分に直向きになれるため、そういったコンプレックスをバネに成長することができます。
そうやって前を向いて頑張れる力は、多くの人を魅了できます。
一方、弱点を認められない負けず嫌いは、自己を肯定するために自分より下の人間を作り、攻撃しようとします。
攻撃された人間が、彼らを好きになるわけはありませんよね。
プライドは心の腫瘍である
プライドは満たされない承認欲求から生まれます。それは最初はとても小さなものであり、特に幼い頃に家族や友達などに対して起こります。
通常誰しも承認欲求はあるのですが、例えば親が放任主義だったり、逆に過干渉による躾(激しく怒る態度や人格否定など)などに該当する人は特に、自分は他者から認められない人間なんだと無意識に察知し、不安になります。
そういった心理のまま成長すると、(そうしたプライドが傷つけられるのが嫌で)10代の頃は無理して目立とうとしたり、逆に人から避けようとしたりします。
しかしそういった行動は空回りし、更に他人に認められることができず、また承認欲求は加速していきます。
また抱えている不安感から自分の成長を認めることができなくなり、それがコンプレックスとなっていきます。
他人の認められようと行動する→煙たがられて避けられる(又は自ら避ける)→承認欲求が更に生まれる→他人に認められようと行動する
といった悪循環が生まれ、プライドが膨れ上がっていくわけですね。
やがて成長するにつれて大きくなったプライドは、知識と経験を以って多くの人間を攻撃し、突き放そうとします。(本人は気づいていないことも多いですが)
例えばお店の店員さんに横柄な態度を取る人、周りに人がたくさんいる中で大声で叱る人、
二言目には罵詈雑言が出る人、自分の奥さんに過度に偉そうで攻撃的な人など、
見たことある人は多くいると思います。
こういった人達は、それまでの人生の過程でプライドという名の腫瘍を鎮めることができなかった人です。
あなたの身近な人にこういった人はいますか?または、あなた自信はいかがでしょうか?
プライドをなくす(隠す)ためには
そういった他者を攻撃してしまう原因となるプライドを抑えるためには、
先程も書きましたが、自分の弱点を認め、許してあげるということが必要です。
まずは大前提として、自分の弱点をさらけ出すと、大抵の人は優しく接してくれます。
(稀にそうすることで更に攻撃してくる人間もいるのですが)
ですので、自分の弱点をオープンにすることで足元をすくわれる、隙を狙ってくるだろうという先入観を捨てましょう。
また、自分の弱点や欲求、無意識に感じていることは何なのかを、細かく整理する必要があります。
自分の弱点を可視化した後、それをゆっくり受け入れるようにするのです。
(本ブログでそのやり方を詳しく書こうと考えておりますので、また後ほど)
プライドが高い人との接し方
では最後に、プライドが高い人との付き合い方の一例を紹介します。
・その人の誇っているもの(性格や特技など)を思い切り称賛する
彼らは常に内心、自己承認を求めていますから、それを満たせてあげると機嫌がよくなります。
むしろ繊細で感化されやすいため、普通よりも一層「いいヤツだ」と付き合いやすい相手として認識されることだと思います。
・こちらが素直な気持ちで質問をする
プライドが高い人はマウンティングを取ってくることがしばしばありますが、そこで自分の感情を一旦置いておいて、素直な気持ちで相手に諭すように尋ねるようにしましょう。
マウンティングを取ってくる人は発言が論理的でないことが多いです。
「どうしてそう思ったの?」「それで、あなたの気持ちは?」がキーワードです。
・さらに上からマウンティングを取る
もしあなたが、その人よりも誇れる部分があるなら武器として使ってみてください。
端から見ればみっともない戦い方ですが、目には目を、プライドの高い人は上から来られることを非常に恐れています。
・むしろ接しない
もしその人があなたにとって重要な人物でない場合には、関わる必要性はありません。
こちらがストレスになったりメンタルが衰弱する必要性はないので、やばいと思った人とは付き合うのをやめましょう。
以上、今回はプライドの高い人についてでした。
人間という大きな括りの中で、プライドを誇示する人間はたくさんいます。
むしろ大人になってから経験を積み重ね、自分の立場や責任感からプライドが生まれ、それが大きくなってくることが当然あります。
もし自分がそうなったときに、一旦立ち止まって、自分の弱点を直視し、弱みをさらけ出すことはできるでしょうか?
表面的な態度に見せずとも、自分の弱点を克服できず、恥の感情から逃げる人は大勢いると思います。
僕自身、未だにそれを完全に克服できているとは言い切れませんが、自分の人生や人間関係を豊かにするために、自分の弱さに向き合っていきたいと思います。
みなさんは、いかがでしょうか?
※1 お笑い芸人の場合は、TV出演に報酬があったり、芸人同士の独特な人間関係から、暗黙の了解でいじりが許されているという内情があります。
信頼関係を越えたいじりはいじめや嫌がらせに発展しかねないので、内容によっては然るべき対応を取ることも必要です。